亜鉛が多くても少なくても脱毛に

 

 私たちの体は元を正せばいろいろな元素の集合体で、ほとんどが酸素、炭素、水素、窒素の4つで構成されており、これらが全体重の96・7%を占めています。水分やタンパク質、脂肪、糖分、ビタミンなどもこれらの4つから成り立っています。しかし実は、人間の生命活動にとってこれら以上に重要なのが、残りの3・3%を占める50種類以上ものミネラルなのです。

 

 亜鉛が不足の場合は脱毛が起こると言いましたが、逆に、亜鉛を過剰摂取すると銅や鉄の不足が起こり、そのため脱毛が起こってくることがあります。また、他のミネラルとのバランスが崩れるといろいろな不調が起こってきます。

 

 亜鉛と銅は8・5対1の割合で摂ることが最もよいのです。このバランスが崩れ、「亜鉛>銅」になった場合(亜鉛の摂り過ぎか銅の不足)は貧血症になりやすく、逆に「銅>亜鉛」の場合は、変形性腰椎症、動脈硬化、低血糖、頻尿、精神障害、不妊、前立腺肥大、傷が治りにくくなるなどの症状が起こってくることがあります。自然な食品で亜鉛と銅のバランスがとれているのは牡蠣です。

 

 特に貧血状態などになっていなければ、一般に、銅は食事から摂れている場合が多いので、牡蠣、ナッツ類、クルミ、牛レバー、そば、エビ、オリーブ油、蛤はまぐり、ニンジンなどで摂り、亜鉛はサプリメントで摂る方法でもよいでしょう。

 



 現代の医学は治療から予防の時代に進んでいると言われています。そのためには病変の起因をいち早く察知したり、摂取したいろいろな栄養素の行方を定期的にチェックして健康管理をすることが必要なのです。

 

 毛髪ミネラル分析を受けると、食事内容やサプリメントについてアドバイスされます。

 

手入れの前に予防を心がける

 

 普段から食事や生活状況などに注意していれば、育毛剤などを使用しなくても予防になりますので、ぜひ実行してみてください。

 

 不幸にして髪が薄くなりだしたり、突然脱毛を起こし始めてしまったときは、現在の状態を正しく知ったうえで、それぞれの脱毛の原因や誘因を少しでも取り除くことが最も大切です。毎日の食事に気をつけて健康を維持し、普段の生活や手入れなどに気を配り、精神面を安定させ、適切なアドバイスを受けて実行していれば、ハゲの進行をかなり食い止めることができ、ハゲ始める年齢を遅らせることも不可能ではありません。

 

 場合によっては髪が生えてきたり、蘇よみがえってくることさえもあります。しかし、気になりだしてしまうと、予防のことは頭の中になく、自分で適当にあれこれ試し、中には根拠のない迷信に近いものまで、とにかくハゲに効くと聞けば手当たり次第に、藁わらにもすがる思いで試してしまう人が多いのが実情です。

 

白髪を防ぐビタミン類

 

 ここで少しだけ、白髪予防についても触れてみましょう。

 

 日本の白髪人口は、40歳以上で約5000万人と推定されており、白髪の発生は一般に男性では30歳前後、女性では35歳前後より始まり、白髪が頭髪全体の50%になるのは55歳前後であると言われています。ただし頭髪の状態は個人差が激しく、もっと若くて発生している人もいることから、必ずしも一様ではありません。また白髪が発生したからといって、身体までも老化しているわけではありません。

 

 普通はメラニン色素を含んだ細胞がそのまま押し上げられて皮質を作るので、毛は黒く見えるのですが、メラニン色素が供給されなくなると白髪になってきます。

 

 現在、白髪が発生する原因として最も新しい説は、「色素幹細胞は自己を複製しながら、色素を作る細胞(メラノサイト)も生み出しているが、DNAの損傷を修復できないと自己複製機能が失われ、幹細胞がすべて分化してしまい、枯渇したから」(西村栄美東京医科歯科大教授・金沢大などの研究チーム)というように考えられています。

 

 毛髪をはじめ皮膚や内臓器官まで身体の至るところにメラニン色素はありますが、毛髪、皮膚、瞳どう孔こうなど皮膚表面に含まれるメラニン色素は、私たちの身体を紫外線の害から護るために作られています。赤道直下に住む人種は、紫外線の害が強い環境に暮らしているため、髪は縮ちぢれ、黒色であり、北欧などの太陽光線の弱いところに住む人種はメラニン色素が少なく、髪は直毛やウェーブ毛で、明るい金髪になっています。

 

 この大切なメラニン色素が、なぜ加齢するにつれて供給されなくなり、白髪が増加するのでしょう。白髪になるメカニズムはわかっていても、なぜ白髪になる必要があるのかなどの根本の原因は、まだはっきりとはわからないのです。

 

 急激に白髪が増えたり、頭髪の一部にかたまって発生するような場合、慢性胃腸疾患、マラリア、貧血症、甲状腺疾患、脳のう下か垂すい体たい機能低下症、尋常性白はく斑はん、円形脱毛症などの病気が隠れていることもありますので、遺伝的体質や加齢以外の場合は注意が必要です。

 

 人体の老化とともに新陳代謝機能は鈍くなり、酵素の働きも衰え、ビタミンやミネラル、タンパク質、炭水化物、脂肪など、人体の維持に必要な栄養素の吸収能力が低下してきますので、これらを補給してメラノサイトを活発にしてやればよいということになります。

 

 白髪を防ぐビタミン類としては、主としてパントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、パラアミノ安あん息そく香こう酸さんなどがよいと言われています。これらはレバー、無精製の穀類、小麦胚芽、ビール酵母、ふすまなどに多く含まれています。

 

 このパラアミノ安息香酸と葉よう酸さん(濃緑色野菜、ニンジン、レバー、卵黄、あんず、カボチャ、アボカドなど)を組み合わせて摂ることで、白髪になりかかった髪を元の自然の色に戻せたという人もいます。動物実験ではその働きが確かめられています。

 

 ミネラルでは、毛髪ミネラル分析によると、銅やカルシウム、セレニウムなどの含まれている食品を摂るとよいとされています。

 

 漢方では、タデ科ツルドクダミの塊かい根こんの「何か首しゅ烏う」が、安心して長期連用できるおだやかな生しょう薬やくとして用いられます。これは唐の時代に何か田でん児じという人が煎じて飲み続けたことにより、110歳になっても頭髪が黒々していたということに由来します。

 

 前出の西村教授によると、毛根で「17型コラーゲン」というタンパク質が不足すると、脱毛と白髪の両方の原因となることを、マウスの研究で突き止め、「頭皮でこのコラーゲンが作られるような薬を開発すれば、一部の脱毛や白髪を治療できる可能性がある」としています。